「複数の文化が出会う街」(2016晩秋のバルカン 其ノ二十二)


ボスニア正教会サラエボ大聖堂に近い旧市街の歩行者専用の商店街を行くと、カトリックエリア、正教エリア、ムスリムエリアというふうに分かれていて、そのうえで通りには「サラエボは複数の文化が出会う街」という標語が記されている。
ボスニア・ヘルツェゴビナにおける「複数」は正教徒主体のセルビア人、イスラム教徒主体のボシュニャク人(ムスリム人)、ローマ・カトリック教徒主体のクロアチア人、くわえてプロテスタントユダヤ教徒がいて出会いの街となる。
ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争ではセルビア人がセルビアモンテネグロとともにユーゴスラビア連邦に留まるのを望み、ボシュニャク人、クロアチア人が独立を望んだ。立場の違いは激しい民族対立を起こした。標語はその反省のうえに立っている。