キアンティ・クラシコ(伊太利亜旅行 其の十二)

映画「ローマの休日」で堅苦しい宮廷生活にいたたまれずアン王女はとうとうローマの街に一人飛び出したのだったが、市井の暮らしがどういったものかわからず、たまたま出会ったジョー・ブラッドレー記者と入ったバールでもシャンパンをオーダーしていた。
その王女がジョーの下宿でキアンティ・クラシコの赤ワインをふるまわれる。トスカナ地方を代表する名酒だが、貧乏な記者が日常飲んでいるようにリーズナブルな価格で、庶民に親しまれている。王女はこれを飲み干すと、もう一杯くださいと催促する。こうしてこのワインは、王女が庶民の味、ひいてはその生活に触れる重要な小道具の役割をはたした。
今回のイタリア旅行、バールやレストランテで銘柄で註文できる際にはキアンティ・クラシコで押し通した。おいしかったなあ。定評のあるワインをその生産地で飲む聖地巡礼の旅だった。