「ER緊急救命室」


シカゴの旅の余韻を味わいたい思いもあり、この都市にある病院の救急救命室(Emergency Room、略称:ER)で働く医師や看護師たちの日常をリアルに描いた「ER緊急救命室」(原題: ER)を観ている。アメリカで一九九四年から十五シーズンにわたり放映された名作ドラマだ。
医療現場のシーンがほとんどだが、ときに医師の自宅近くを走るメトラやシカゴのビル群、ダウンタウンの中心部を流れるシカゴ川の光景などが映し出され、小児科医のジョージ・クルーニーが橋の欄干にもたれて同僚の女性のことで思いにふけっていたりする。
多忙な医療現場から見えてくるのは貧困、虐待、薬物、老人介護などわたしたちを取り巻くのとおなじ社会問題である。これらの問題群に笑いと涙のエピソードを交えたドラマづくりにハリウッドの伝統と底力を感じる。原作者マイケル・クライトンが製作総指揮を務めている。