2011-04-01から1ヶ月間の記事一覧

瞬間日記抄(其ノ十)

千葉伸夫『原節子』を2001年刊行の平凡社ライブラリー版で読んでいる。原節子、本名会田昌江は1933年(昭和8年)に私立横浜高等女学校に入学した。「この年に中島敦(のちに作家)が二十四歳で、前後して、岩田一男(のちに一橋大学教授・英文学者)、渡辺は…

『深夜の散歩』のおもいで

ハヤカワ・ライブラリの一冊として刊行された『深夜の散歩』を眺めている。一九六三年十一月三十一日付け再版で、版型はハヤカワ・ポケット・ミステリとおなじ。一昨年に神保町の小宮山書店のワゴンセールでもとめた。三冊五百円だったから迷いなく即決で、…

「四畳半物語娼婦しの」

この二月に神保町シアターで成沢昌茂監督「四畳半物語娼婦しの」(1966年東映、以下「娼婦しの」)を観た。原作は永井荷風「四畳半襖の下張り」とされているが、正確には同作品をヒントとして紡ぎ出された物語と言ったほうがよいだろう。 本ブログ「荷風の映…

十年前のノートから東日本大震災の現在へ

このほど定年退職を迎えたのを機に、勤務先のウエブサイトに六年あまりにわたり月一篇掲載していたコラムに、他で発表した数篇をくわえて『スローボートからのつぶやき』と題した私家版を編んだ。お世話になった方々に配布する退職の引出物である。本書の書…