サハラ砂漠へ(モロッコの旅 其ノ三十)

フェズからサハラ砂漠へ向かった。まずはバスで七時間かけてモロッコからチュニジアに東西に伸びるアトラス山脈を越え、砂漠の入口の街、エルフードへ。ここで4WDに乗り換えておよそ60km、一時間の行程でメルズーガの砂漠の中にあるホテルへ着いた。
「『佐原』(サハラ)の原ととなふるは世界中の大砂漠、東西一千百里、南北凡(およそ)四百余里、樹蔭も見えぬ砂の海、ここに往来(ゆきき)の旅人は駱駝の背(せな)を船に代へ、数月の糧を貯へて北と南に渡るとぞ」。
福沢諭吉『世界国盡』にあるサハラ砂漠の記述で、左はそこにあるイラストで、読者はここからサハラ砂漠のイメージを描いた。そしてどれほど描いても描き切れない想像を絶する場所が「佐原」という「砂の海」だった。