戦争前の銀座は夜店で賑わっていたそうだ。明るく快活な雰囲気で、値段も手ごろのよい品が買えたという。
吉田健一『東京の昔』には「その凡そ小さな古本屋は日本の本しかなくても神田のもつと大きな店でも掘り出しものと見られるものばかり置いてゐるのが特色だつた」という夢のような、古本好きにはこたえられない銀座の夜店の古本屋が語られている。
ローマやミラノで見かけた路傍の古本屋は昔の銀座の夜店を思い出させた。映画関係の本が相当数並んでいる店があり、イタリア語の書物は読めないけれど、さいわいグッズが置いてあり、おみやげにマグネットをいくつか買った。なかのひとつはいま自宅の冷蔵庫の扉を飾ってくれている。(左より「81/2」「道」「カビリアの夜」、フェデリコ・フェリーニ)