サン・ジェルマン・デ・プレ教会(2015オランダ、ベルギーそしてパリ 其ノ六十一)

「何世紀も前パリがシテ島の城塞都市で、今日のサン=ジェルマン広場では牛が草を食んでいた頃、シテ島の城塞を最初に出た人人の一部がセーヌ左岸沿いに住みついた」。やがて河岸からすこし南をセーヌ川に平行するユシェット通りには配達車、ペダルを踏んで走らせる間に合せの車、行商人の手押車、刃物砥師、傘直し、乳を取るための山羊の群、界隈の歩行者たちが往来するようになった。

エリオット・ポール『最後に見たパリ』(吉田暁子訳)の記述で、旅行したあと読むと土地の具体的なイメージができているからよく分かるし、うれしい。そして、乏しい金を工面して旅に出たかいがあったと、自分を納得させる。

この地区の中心にあるのはパリ最古のサン・ジェルマン・デ・プレ教会。メロヴィング朝の王であったキルデベルト一世が、聖遺物や王の墓を収めるために建築した教会が原型というから六世紀にさかのぼる。

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