小学五年生のお正月に吉永小百合主演「青い山脈」を観たあと、たまたま書店の棚に新潮文庫の石坂洋次郎『青い山脈』を見つけ、さっそく読んだ。心に吉永小百合の寺沢新子を思い浮かべながら。わたしが本を読むのが好きになったきっかけである。
ただしそれ以前に読んだ本の記憶がまったくなく、児童文学ではこれを読みましたといったことがいえない。だからイギリスの作家ウイーダの「フランダースの犬」とも無縁のままで、テレビでアニメーション化されたからあらすじを知るばかりだ。
記念碑や銅像が建てられている「フランダースの犬」だが、もともとベルギーではほとんど知られておらず、海外、とりわけ日本で有名になり、その影響が作品の舞台となった地にもたらされた。二00七年には、なぜベルギーでは無名の物語が日本で非常に有名になったかを検証するドキュメンタリー映画が作られているそうだ。