アントワープ聖母大聖堂(2015オランダ、ベルギーそしてパリ 其ノ三十四)

ブリュージュからアントワープへはバスで九十二キロ、およそ一時間二十分の行程だ。

土砂の堆積により港湾都市の機能が果たせなくなったブリュージュが衰退し、代わって重要性を増したのがアントワープだった。外国商館がブリュージュからアントワープへ移転をはじめたのが十五世紀末、十六世紀にはポルトガルからの胡椒やアメリカから大陸産の銀により繁栄がもたらされ、またイギリスと競合しながら繊維産業も栄えた。

十六世紀はじめに竣工した百二十三メートルの高い優雅な塔を持つノートルダム大聖堂はその繁栄を示しているようにそびえたっている。このゴシック様式の教会は一三五二年に建設工事がはじまり、百七十年余りの歳月をかけて完成した。

ノートルダムはフランス語で「わたしたちの貴婦人」という意味。聖母マリアに捧げられ、その名にちなんで名付けられた。わが国でも「フランダースの犬」の教会としてよく知られる。

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