ブリュージュ(2015オランダ、ベルギーそしてパリ 其ノ二十三)

いよいよ今回の旅の最大のお目当ブリュージュに着いた。ローデンバック『死都ブリュージュ』を読むまでこの都市を知らなかったけれど、一読してたちまち行ってみたいところとなった。手許の岩波文庫窪田般弥訳)の奥付は一九八八年三月第一刷とあり、届くとすぐに読んだからずいぶん長いあいだあこがれていたことになる。

ブリュージュは十三世紀から十五世紀にかけて金融・貿易の拠点都市として、また商工業都市として繁栄したが十五世紀以降、運河やズウィン湾に土砂が堆積したため大型船舶の航行に支障を来たすようになり、貿易港ならびに経済の中心地としての重要性を失い、アントワープにその地位を譲った。

そうした歴史のイメージを援用して成ったのがジョルジュ・ローデンバック(1855-1898)の代表作『死都ブリュージュ』だが、実際は十九世紀に運河が再生され、「北方のヴェネツィア」と称される美しい水の都は甦った。

いま運河と中世の面影を残した町並みは多くの人々を魅了している。

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