風車(2015オランダ、ベルギーそしてパリ 其ノ二十二)

オランダのハーグからベルギーのブリュージュへ向かうとちゅうキンデルダイクへ寄った。オランダ第二の都市ロッテルダムから南東約十三キロに位置しており、レク川とノールト川に挟まれた地区だ。

十八世紀に造られた風車が十九を数え、どれもたいへんよい状態で保存されている。排水機能としての風車はポンプにとって代わられて役割を終えたが、観光資源としての風車は健在で一九九七年に「キンデルダイク=エルスハウトの風車網」としてユネスコ世界遺産に登録されている。なおオランダの風車は偏西風を利用するためすべて西向きになっている。

低湿地や干潟を干拓してできたオランダの国土は四分の一以上が水面下にあり、自然条件としては厳しい。『米欧回覧実記』はオランダを讃えて「天利ニ富ルモノハ、人力ニ惰(おこた)リ、天利ニ倹ナルモノハ、人力ヲ勉ム」と述べている。風車は自然条件の厳しさを人の力で克服した成果の一つなのだった。

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