ダイヤモンド(2015オランダ、ベルギーそしてパリ 其ノ十)

クルーズ船を下りてダイヤモンド工場へ行った。ここは四百年以上にわたりダイヤモンドの街として知られてきた。世界の王室のダイヤモンドを研磨した伝統は「アムステルダム・カット」の名前とともにある。

明治四年十一月から明治六年九月にかけて欧米を視察した岩倉使節団の記録『米欧回覧実記』は日本人にはなじみのなかった金剛石(ヂヤモントのルビ)を「玲瓏瑩徹、暗中に光ルニ至ル」「地球上ニ其ノ堅剛ヲ比スルモノナシ」と説明したうえで、研磨場はこの地でもっとも有名な場所であり、欧州各国でダイヤモンドはずいぶんと流行し珍重されているが「是ヲ磨琢シ粋玉トナスコトハ、此場ニアラスハ、成ス能ハストナン」と記述している。

いま世界のダイヤモンド市場でアムステルダムがどれくらいの比重を占めているのかは知らないが、岩倉使節団が訪れた時点では一日に働く職人三百十五人、蒸気三十六馬力とある。

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