旅の終りに(2016晩秋のバルカン 其ノ五十六)


スロベニアポストイナからクロアチアザグレブに戻り、翌日(2016/11/25)の午後ザグレブ国際空港からミュンヘン経由で帰国した。
空港行きのバスが出る直前までザグレブ郊外にあるホテルの近くを散歩し、おしゃれなカフェを見つけて憩いのときを過ごしたのだったが、この店の窓から見る樹々が素敵だった。
紅黄葉が閑静な街並みに彩りを添えていて、観光地もよいけれど、あてもないちょっとした町歩きで、見て感じる土地のたたずまいは捨てがたい。
そこには「誰か路傍の花を踏みつけた/それにしても秋風が激しく花をゆすつてゐたのだ。」(ジヤン・モレアス「小唄」堀口大學訳)といった光景とは対照的な、おだやかな朝に老人が子犬を連れて樹下にたたずむ景色があった。(おわり)