スタリ・モスト(2016晩秋のバルカン 其ノ二十六)


サラエボからモスタルへ。モスタル市内にはネレトバ川が流れていて、そこに架かる有名な橋が「古い橋」スタリ・モストで、この街のシンボルとなっている。というのも橋はオスマントルコに支配されていた十六世紀に建設され、橋の西側にはクロアチア系(カトリック教徒)が、東側にはイスラム系の住民が生活しており、往来と共存つまり両者を繋いだのがスタリ・モストだった。
ところが一九九三年十一月九日、橋はクロアチア系の民兵により破壊された。ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争終結後、復興計画が持ち上がり、二00四年六月二十三日に復興工事が完了し、翌年ボスニア・ヘルツェゴビナ初のユネスコ世界遺産に登録された。
民族、文化、宗教の共存のシンボルだった橋はいま不戦の誓いをも担うようになった。「’93を忘れるな」の石碑は橋の近くにある。