ネレトバの戦い(2016晩秋のバルカン 其ノ五)


東欧諸国のなかでユーゴスラビアは唯一ソ連の助力なく独力でナチスからの解放を勝ち取った国だ。戦後この国がソ連の言いなりにならず、ときにスターリンとわたりあい、「社会主義非同盟中立路線」という独自の道をあゆむことができた大きな要因にナチスに独力で勝利した実績と誇りがあった。
第二次大戦中、ユーゴ共産党(のちに共産主義者同盟と改称)のリーダーとしてパルチザンを率いドイツと戦ったリーダーがチトーだった。そのパルチザン部隊の戦いを描いた映画に一九六九年のユーゴスラビア映画「ネレトバの戦い」がある。ユル・ブリンナー、オーソン・ウエルズ、フランコ・ネロなど豪華な役者陣を揃え、女優ではシルヴァ・コシナが出演しているのがうれしい。
彼女の出演作ではライオネル・デヴィッドスン『モルダウの黒い流れ』を映画化した「地獄のガイドブック」が好き。未見の方おためしあれ。