九份(2015初夏台湾 其ノ十七)


台湾では九十年代はじめに九份観光のブームがあり、そのきっかけとなったのが一九八九年に公開された侯孝賢監督「悲情城市」の大ヒットで、ロケ地のノスタルジックな風景に魅せられた多くの人がここを訪れた。こうして九份は一躍脚光を浴び、台湾を代表する観光地となった。わたしがこの地を知ったのも映画を通じてだった。
狭い路地が入り組み高低のある地には土産物店や喫茶店(レトロな感じで茶館と言ったほうがよいかな)、立ち食いの店などが所狭しと並んでいて、たいへんな活気だ。
映画といえば「千と千尋の神隠し」の湯屋に似た建物があるところから、モデルとなったのではないかとの説があるが、宮崎駿監督、スタジオジブリはこれを否定している。でも、暗いトンネルを抜けるとありえない町がそこにあるといった雰囲気に変わりはない。