蒋介石の座像(2015初夏台湾 其ノ七)


一九七六年三月と七九年八月に北京を旅した。七六年のときは一月八日に周恩来が亡くなり、後継のトウ小平にたいする、いわゆる「四人組」からの批判が激しく展開されていた時期だった。毛沢東が亡くなったのはこの年の九月九日で、七九年に北京へ行った際には天安門広場に毛主席記念堂が建っていたが、ミイラ化されたおひとにお会いしたい気持はなく、時間もかかりそうだったから入場は見送った。その記念堂には中国の風景画を背景とした毛沢東座像があり、胸から下を中国共産党旗で包まれた毛沢東の遺体が安置されている。
いっぽう中華民国初代総統蒋介石が亡くなったのは毛沢東が歿した前年一九七五年四月五日で、こちらの顕彰施設が台北にある中正記念堂だ。中正は実名、介石は字(実名以外につけた通称)である。偶然かどうかは知らないが、こちらにも座像があり儀丈隊が守っている。座像の上には「倫理・民主・科学」のスローガンとそれを説明するお言葉が掲示されている。