「南風」(2015初夏台湾 其ノ五)


二0一四年製作の台湾映画「KANO1931海の向こうの甲子園」は一九三一年(昭和六年)甲子園の高校野球大会(当時は中等学校野球大会)に台湾代表として出場し準優勝を果たした嘉義農林学校野球部の実話をもとにした作品で、その嘉義を訪れてみたかったが残念ながら今回の旅程には組まれていない。
そこで、現在の台湾を舞台にした映画で旅行の予習となる作品はないかしらと調べているうちに「南風」(萩生田宏治監督)というおなじ二0一四年の作品があった。東京の出版社で働く藍子(黒川芽以)が単発企画取材のため、台湾の日月潭で催されるサイクリングイベントに赴く。彼女は偶然レンタサイクル店の娘トントン(テレサ・チー)と出会い、ガイドをしたいという彼女の要望を受け入れ自転車でイベント会場を目指すというロードムービーで、今回の旅で訪れるところでは淡水と九份のシーンがある。
藍子とトントン。日本語、中国語、英語のちゃんぽんで言葉は通じにくいのだが、だんだんと心は通じ合う。