第96回新宿ー青梅かち歩き大会

三月十二日。昨年十一月に続き新宿―青梅43キロかち歩き大会に参加した。都庁前の新宿中央公園を8:30に出発。今回はとちゅう30キロ手前でみちづれとなった素敵な女性と話しているうちに、これから先は彼女のペースメーカーを務めようと決めると、彼女のほうも、ここまで来ればついて行きますと阿吽の呼吸で、世間ばなしをしながら苦しさを紛らわせ、ときになぐさめ、励まし、15:42に86、87位でゴールした。もちろんペースメーカーは後につけていました。
「これまで何度か参加しているけれど、二けたの順位でゴールしたのははじめて、快挙です」と彼女からいたく感謝された。
退職して以来、世のため、人のために尽くした稀有な一日だった。
十五年ほど前、生徒を引率して菅平へスキー研修に行ったとき、ある班にいた三人の悪ガキがどうしてもうまく滑れずふてくされてしまい、インストラクターは音を上げ、やむなく団長のわたしが三人を引き取った。なだめすかして滑らせてみたところ初歩のプフルークボーゲンとしてはターンの角度が狭く、もっともっと広い角度で曲がってごらんと声をかけながらいっしょにやっているうちになんとかできるようになり、あとで「インストラクターより教頭先生の指導が上手かったです。ありがとうございます」とお礼を言われ、四十年近い高校の教員生活でいちばんうれしい出来事となった。
「快挙です」とまで謝意を表せられ、一瞬、かち歩きといいスキーといい、おれはけっこうコーチングに向いているのではないかと思った。上っ調子で思慮が乏しいのは相変わらずである。いつだったかジョギングをしているときかつての教え子と出くわして「先生は頭を使ってもたいしたことないから身体で頑張るほうがよいでしょうね」と言われた。彼女はわが教え子のなかでいちばん成績優秀な生徒のひとりで皮肉と激励を兼ねた才気煥発のお言葉であった。やはり頭を使わなくてはならないコーチングは不向きだな。

ゴールして互いの健闘を讃えて別れたあとは河辺駅ビル内の温泉、梅の湯に入湯。毎度のことながらうれし涙が出るほどありがたい。そうしていっしょに参加した若い友人たちとお気に入りの立川の餃子屋さんで慰労会。みなさまお疲れさまでした。
来月はマラソン誕生の地ギリシアへの旅行がひかえている。観光の傍らしっかり走ってきます!