プラタナスの並木道(西班牙と葡萄牙 其ノ五十四)


リスボンで宿泊したホテル近くの公園にプラタナスの並木道があった。
アメリカのスタンダードナンバーで最初に知ったのは「スターダスト」で、おなじ思い出をもつ方は団塊の世代には多いだろう。毎週日曜日の夕方、シャボン玉ホリデーのエンディングでザ・ピーナッツが歌っていたからメロディは耳になじみ、やがて英語の歌詞をおぼえた。
「心に星屑のメロディがよみがえり、愛の思い出は繰り返す」。恋に恋していたころ知ったその歌詞は老残となったいまのわたしの胸をもキュンとさせる。
和製スタンダードナンバーではなんといっても鈴木章治とリズムエースによる「鈴懸の径」で、「やさしの小鈴、葉かげに鳴れば、夢はかえるよ鈴懸の径」は「スターダスト」の歌詞に通じる。
公園のベンチに坐りながらこの並木道に緑が繁り、あるいは枯葉が舞う場面を思った。