発見のモニュメント(西班牙と葡萄牙 其ノ五十一)


ベレンの塔とともにテージョ川に面して建つ発見のモニュメント。五十二メートルの高さのコンクリート製で、十五世紀のポルトガルとスペインの探検家が愛用したキャラベル船の船首を模しており、大航海時代を彩った人物群が刻されている。先頭に立つのは大航海時代の先駆的指導者エンリケ航海王子で、以下ヴァスコ・ダ・ガマフランシスコ・ザビエルフェルディナンド・マゼランなどが連なる。
一九四0年にポルトガルで開催された国際博覧会の象徴として制作されたが、素材がもろかったためエンリケ航海王子没後五百年の記念行事として一九六0年に再度制作された。長期にわたるアントニオ・サラザール独裁政権国威発揚を期したモニュメントでもあった。
一九七四年のいわゆる「リスボンの春」により独裁政権は打倒され、大航海時代を偲ぶ大彫刻はアントニオ・サザールが遺した観光資源となった。