映画「エル・シド」(西班牙と葡萄牙 其ノ四十二)


はじめてスペインを舞台とした映画を観たのはチャールトン・ヘストンソフィア・ローレンが出演した「エル・シド」だったとおもう。スペイン映画ではなく、アメリカとイタリアの合作で、監督は「ウィンチェスター’73」や「グレン・ミラー物語」を撮ったアンソニー・マン。同監督の歴史スペクタクル作品には「ローマ帝国の滅亡」もある。
エル・シド」が日本で公開されたのは一九六二年四月だからわたしは小学六年生だった。どうして、誰と映画館へ行ったのかの記憶はまったくなく、ラストシーンで、エル・シドが馬に乗って浜辺を駆け「かくてエル・シドは歴史から伝説になった」とナレーションが流れていたのをおぼえている。三時間を超える長尺ものだが退屈しなかったからそれなりに面白く観ていたのだろう。
帰国すると折よくイマジカBS「黄金の六十年代、七十ミリ超大作」特集で「エル・シド」の放映があった。半世紀以上経っての再見は今回の旅行がもたらしてくれたもので、これも旅の楽しみのひとつである。ラストシーンは記憶通りだった。