ハノイへ飛ぶ(ベトナムの旅 其ノ一)


かつての北ベトナムをすこしばかり観光してきた。羽田〜ハノイ〜バッチャン村〜ハロン湾〜タンロン〜ハノイ〜羽田というのがその旅程。観光というよりもかねてよりベトナム戦争の地を一度訪ねてみたい気持があり、ようやく願いが叶ったしだいだ。戦争の地というのであればまずは南ベトナムへ行くべきだったかもしれないが、いずれ機会をみてぜひ、と思っている。
南ベトナム民族解放戦線が結成されたのが一九六0年。臨時革命政府の樹立が一九六九年。和平協定が成立しアメリカ軍が撤退したのが一九七三年。そして南北ベトナムの統一が一九七五年。
わたしは臨時革命政府樹立の年の三月に高校を卒業、四月に大学入学、アメリカ軍撤退の年の三月に大学を卒業し就職した。ベトナム戦争のニュースがない日はないといってよい時代のなかにあった若者が六十代も半ばになってはじめて踏んだベトナムの地だった。