トレド大聖堂のなかで(西班牙と葡萄牙 其ノ十九)


トレド大聖堂は一二二六年フェルナンド三世の命により建築がはじめられ一四九三年に完成した。十三世紀フランス・ゴシック様式の影響が大きいとされる。サグラダ・ファミリアと同様にこちらも二百年以上かけて竣工しただけあって、見事なものだ。
美しい町並みに大聖堂はよく映える。中に入ると別世界へ来たような感じがする。それほどカトリックの世界への誘いに果たす宗教美術の役割は大きい。カルヴァン派の教会を見たことはないけれど、想像するにだいぶん質素な感じがする。その質素、禁欲のエートスは宗教的に大きな意味をもっていて、マクス・ウェーバーは『プロテスタンティズムと資本主義の精神』において、そこに資本主義発生の一大要因があると分析した。そうした知識はあっても観光となるとカトリックの宗教美術に圧倒される。あくまで非キリスト教徒の旅行者の感想であります。