トドラ峡谷(モロッコの旅 其ノ四十)


ベルベル人のテントをあとにふたたび四駆に乗り込み、エルフードへ戻った。ここでバスに乗り換えワルサザードへ、347Km、7時間、そこからこの日の宿泊地であるアイト・ベン・ハッドゥへは37Km、45分というのが行程だった。とちゅうトドラ渓谷のレストランで昼食をとった。
トドラ峡谷にはほぼ垂直に切り立った岩壁がたちはだかり、透き通った美しい水が流れる。ここは景勝地であると同時にヨーロッパのロッククライマーが練習をするために集まってくるところでもある。恰好の練習台で、崖の最高の高さは160mに及んでいる。
赤茶けた岩の色がモロッコを感じさせる。というのもサハラ砂漠の砂の色に通じているからだ。砂色を国語辞典で引くと、砂のような、黄色がかった薄い灰色とあるが、サハラの砂は赤みを帯びていてこれとは異なる。岩の色も砂の色も気候風土により違ってくる。