天の川(モロッコの旅 其ノ三十一)


砂漠のホテルに着いたのは夕刻近く、しばし散策したあと夕食を終えると外は暗くなっていた。それからはホテルの屋上に出て空を見上げる人もいれば、わたしたちのように砂漠に出て大きめのバスタオルを広げて寝ころび空を仰いだ者もいた。
おそらく部屋に居つづけた方はいなかっただろう。なにしろ雲一つない夜空に天の川の光の帯がくっきりと見られるのだから。
わたしは子供のときに天の川を見ているが、それだってこれほどの姿を現してはいなかっただろう。国内では都市化、光害などにより天の川が見られるところは数少なくなった。
スマートフォンデジタルカメラを両方提げるのがわずらわしくて写真はスマートフォンだけにしているが、このときだけは天空を撮影できるカメラが欲しいなあと思ったものだった。