ムハンマド五世霊廟の衛兵(モロッコの旅 其ノ十六)


ムハンマド五世の霊廟の門と建物入り口には衛兵が立つ。観光地の衛兵だからであろう、気さくにポーズもとってくれるし、ともに写真にも入ってくれる。聞くところによるとモロッコで衛兵といっしょに写真撮影ができるのはここだけらしい。
この衛兵が守る霊廟にムハンマド五世とともに安置されている前国王のハッサン二世は毀誉褒貶の激しい独裁政治家で、この王の治世はモロッコ理解のキィ・ポイントだ。まず国内統治では軍と警察を駆使し反対派を弾圧、そのいっぽうでアメリカ合衆国をはじめとする西側諸国との友好協調を図り、積極的に外貨を導入して経済発展を進めた。他方、パレスチナ問題ではアラブ諸国支持を貫いているのだから、なかなかの辣腕ぶりである。
当然、内政では反発が強くたびたび暴動も起こっている。また一九七0年代はじめには軍とも緊張関係が生じ、二度の暗殺未遂事件が起こっている。