ムハンマド五世の霊廟のなかで(モロッコの旅 其ノ十五)

ムハンマド五世の霊廟は美しい内部に入れてくれて、そのうえ同国王と後継のハッサン二世の棺を写真に収めてもよいというのだから、ずいぶんと開かれた霊廟と言ってよいだろう。
ここで少し勉強をします。
ムハンマド五世が即位したのはモロッコが独立を果たした翌年の一九五七年で、それまでは国王の称号ではなくスルターンと呼ばれていた。この国王が没したのが六一年で、皇太子がハッサン二世として即位した。一九九九年にハッサン二世が死去し、皇太子がムハンマド六世として即位した。現国王である。
憲法が制定されたのは一九六二年で、これによりモロッコは君主権限の強い立憲君主政体の国家となった。二0一一年「アラブの春」の運動はこの国にも波及し、同年、国王の権限縮小、首相の権限強化を盛り込んだ憲法改正が行われた。