ラバト(モロッコの旅 其ノ十二)


カサブランカをあとにして首都ラバトに向かった。活気のある商業都市カサブランカに対してここは落ち着いたたたずまいのある都市だ。現国王ムハンマド六世とその家族が住む王宮、ムハンマド五世の霊廟、ハッサンの塔と並べてみると京都や奈良を思わせる古都の感じがする。
写真はハッサンの塔。ハッサンは美を意味している。一一九五年ヤークブ・マンスール王が建設に着手したモスクだが、四年後の王の死去により工事は中断した。一辺十六メートルの正方形、高さは四十四メートル。もともとは八十八メートルで計画されていた。
ヤークブ・マンスールはかつてのモロッコの盛時を象徴する国王で、この時代モロッコ軍はジブラルタル海峡を渡りイスパニア軍を破った。ハッサンの塔と同形の塔がマラケシュとともにスペインのセビリアにもあり、ともに王の威勢を伝えるミナレットである。