麟祥院


麟祥院は徳川三代将軍家光の乳母春日局菩提寺として知られる。幕府の恩恵に報いるために寺院を建立しようと思い立った局の志を知った将軍家光が本郷湯島のこの土地を寺地として贈り、その願いを叶えさせた。宗派は臨済宗妙心寺派
局により「報恩山天沢寺」と名付けられた寺はのちに家光が局の法号を以て寺号とするよう命じて「天沢山麟祥院」となった。境内には「東洋大学発祥之地」の石碑がある。明治二十年井上円了が寺の境内の一棟を借りて「哲学館」を創立したことに基づく。
いま所在地は文京区湯島四丁目となっているが昭和六年の地図を見ると龍岡町に属していて、からたちの生垣をめぐらしていたことに由来する別名の枳殻寺で載っている。龍岡町の周囲を見ると湯島切通町、茅町、天神町、本富士町、真砂町、菊坂町、春木町と昔恋しい町名がならぶ。