「犬吠埼 ロカ岬友好記念碑」(春の銚子で 其ノ八)


「歌を歌って調子が外れるのがいるでしょう」「音痴か」「そういうのを犬吠岬と云うのです」「どうもよくわからない」「銚子の外れにありますから、だから調子っぱずれです」。内田百けん(もんがまえに月)『第三阿房列車』の「房総鼻眼鏡」にある話で、ぽかぽかとした陽気のなか何か歌を口ずさみたい気分になったそのとき、太平洋に面と向かった堂々たる石碑を眼にした。
近寄ってみると「犬吠埼 ロカ岬友好記念碑」とあったのでおどろき、そしてうれしくなった。二0一五年三月二十七日犬吠埼に立ったわたしは奇しくもその三週間余り前の三月四日にロカ岬を訪れている。「海終わり陸始まる」犬吠埼と「陸終わり、海始まる」ロカ岬とが友好関係にあるとはこの碑を見た瞬間まで知らなかった。
石材はポルトガル産大理石オーロラ石で、「海終わり/陸始まる/犬吠埼/風と光と土と水/引き継ぐものは美しい」と刻されている。

*下はロカ岬でいただいたユーラシア大陸最西端到達証明書。