犬吠埼(春の銚子で 其ノ六)


関東平野の最東端、太平洋に突出した犬吠埼。岬の上には犬吠埼灯台が建つ。
灯台のふもとに掲示されていた解説には、この国産レンガで造られた初の灯台はイギリスの技師リチャード・ヘンリー・ブラントンの設計・監督のもと文明開化の先駆けとして一八七四年(明治七年)十一月十五日に完成したとあった。また一九九八年に国際航路標識協会(IALA) が提唱した世界灯台百選(世界各国の歴史的に特に重要な灯台百選)に選ばれている。
灯台近くの丘には佐藤春夫の直筆による「犬吠埼旅情のうた」の詩碑が建っている。
「ここに来て/をみなにならひ/君も知らぬ草花をつむ。/みづからの影踏むわれは/仰がねば/燈台の高さを知らず。/波のうねうね/ふる里のそれには如かず。/ただ思ふ/荒磯に生ひて松のいろ/錆びて黝(くろ)きを。」