グランドバザール(土耳古の旅 其ノ四十)


アンカラからイスタンブールへ戻るとグランドバザールが待っていた。十五世紀なかばメフメット二世により開設された大市場はまるでショッピングの迷宮、トルコ語では「カパル・チャルシュ」屋根のある市場と呼ばれている。
迷路のような道の両側に並ぶ貴金属、絨毯、革製品、布製品など多種多様なものを扱う店は四千軒に達するそうだ。夕方に訪れたのだが、たいへんな賑わいぶりで店員の皆さんの日本語も上手く、呼び込みもバラエティに富んでいる。
もっとも予習したところによるとここは地代が高くておのずと品物の価格も高くなるのだとか。
トルコでの買い物に値切り交渉はつきもので、とりわけグランドバザールでは言い値で買うのはためらわれるが、わたしのように交渉に向かない者には辛いものがあり、結果ここでは散歩と見学に徹することとなってしまった。