「クォ・ヴァディス」(土耳古の旅 其ノ三十)


迫害を避けたキリスト教徒が生活した地下都市を前にしてシェンキェヴィチ「クォ・ヴァディス」を思い出した。丸山眞男先生が若いとき読んで感銘を受けた本として挙げているのを読んで岩波文庫の三冊本を買ったのはよかったがそのままになっている。映画はずいぶん前に観ていて皇帝ネロを演じたピーター・ユスティノフの印象は強いものの総じて出来のよい作品とは言い難かった。
原作にとりかかるのはまだ無理だが、せめて映画をもう一度見ておこうと旅のあとBlu-rayで再会した。
時代は一世紀にさかのぼる。ローマ皇帝ネロの時代のキリスト教徒迫害、ローマ社会と支配層の退廃、初期キリスト教の伝搬などが虚実とりまぜて描かれた歴史スペクタクルにさほど期待していなかったのが幸いしてか174分の大作をしっかり観た。ローマで難に遭った人たちの一部はカッパドキアに逃れてきたのだろうか。