パムッカレ(土耳古の旅 其ノ十八)


エフェソスからパムッカレへはバスでおよそ三時間、距離にしておよそ百八十五kmほどある。
ここは「ヒエラポリス-パムッカレ」という複合地域として世界遺産に登録されている。ヒエラポリスは紀元前二世紀後半に古代王国ペルガモンの王エウメネス二世によって造られ、ローマ帝国支配下で農工業が栄えた。またパムッカレはトルコ語で「綿の宮殿」という意味で、昔からこの地方は良質の綿花の生産地だった。また二世紀頃からは多くの人びとが訪れる温泉保養地として名を知られた。
遠くの山の頂上は雪で覆われているが、手前は炭酸カルシウム(石灰)が沈殿してできたもの。二酸化炭素を含む弱酸性の雨水が石灰岩中に浸透し、炭酸カルシウムを溶かした地下水となる。その地下水が地熱で温められて地表に湧き出て温泉となり、温水中から炭酸カルシウム(石灰)が沈殿してこのような純白の景観を作り出す。