ホテルの『コーラン』(土耳古の旅 其ノ五)


高校生のとき国際ギデオン協会の方から文庫本ほどの大きさの『新約聖書』をいただいた。和英対照だったのですこしは英語の勉強になるだろうと、ときどき眺めていた。
社会人になると出張先のホテルでハードカヴァーの『聖書』を見かけるようになった。こちらもギデオン協会の贈呈によるもので、同協会のホームページには1899年に米国で発足して以来贈呈した聖書の総数は三千四百万冊を越えているとあった。
今回のトルコはイスラム教国へのはじめての旅だから、ホテルに『聖書』があるはずはないが、代わって『コーラン』があるのだろうかと半分冗談に思ったが、冗談どころではなくいずれのホテルにもしっかりとアラビア語の『コーラン』が置かれていてギデオン協会の活動はイスラム圏にも採り入れられていると知った。