眺めのいい部屋(伊太利亜旅行 其ノ二十)


映画の好きな人がローマを旅すれば「ローマの休日」に触れずにはいられないだろう。だったらフィレンツェはどうか。わたしのばあいはジェイムズ・アイヴォリー監督『眺めのいい部屋』ですね。
1907年、イギリスの良家の令嬢ルーシー・ハニーチャーチが年配の独身の従姉シャーロットを付き添いとしてフィレンツェへとやってくる。滞在先のベルトリーニの案内された部屋が期待していたアルノ河に面した眺めのいい部屋ではなく、シャーロットが苦情を言うのを聞いていた宿泊客のなかに、わたしたちの眺めのいい部屋と交換しましょうと申し出てくれたイギリス人がいて、というところからはじまるラブ・ストーリー
わたしたちはフィレンツェからポンタシエーベへ移動し、そこで宿泊だったから映画の追体験というわけにはいかなかったが、いつかきっと「眺めのいい部屋」に泊まってみたい。