サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂(伊太利亜旅行 其ノ十七)


フィレンツェのシンボルであるサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂。1296年から百四十年以上をかけて建設された。巨大なドームが特徴の大聖堂は、イタリアにおける晩期ゴシックおよび初期ルネサンスを代表する建築物だ。いずれも教科書や事典にある基礎知識で、フィレンツェの街にならぶ歴史的建造物の年代を推定するなどわたしには及びもつかない。
須賀敦子は「フィレンツェー急がないで、歩く、街」に「なんどもおなじ通りを歩くうちに、だんだん、建物のつくられた時代までが、すこしずつわかるようになり、この建物は、むこう側のあれよりも、ルネサンス度が純粋だ、というふうな判断がうまれてくる」と書いている。歩いて、感じて、本を読むのはずいぶん時間のかかる勉強の仕方だったとも。
自分も少しは建築の年代を判断できるようになりたいなんて贅沢は言わないけれど、須賀さんに倣ってせめて「なんどもおなじ通りを歩」いてみたいと願う。