祝 富士山「世界文化遺産」登録

ことし二0一三年六月二十二日富士山が「世界文化遺産」に登録された。この山を国民の財産として、また、日本が世界に誇るシンボルとして、アピールしてこられた方々の努力に心からの敬意と感謝を申し上げたい。
登録に際しては静岡、山梨両県の推進力が大きかったとうかがっている。富士山の遠景はまた江戸東京の者にとっても大きなよろこびで、永井荷風『日和下駄』には「関西の都会からは見たくも富士は見えない。ここにおいて江戸児(えどっこ)は水道の水と合せて富士の眺望を東都の誇となした。西に富士ヶ根東に筑波の一語は誠によく武蔵野の風景をいい尽したものである」とある。
日暮里の富士見坂はその名の通りいまもかろうじて富士山が望める坂だが「世界文化遺産」登録を待っていたかのように新たな高層建築物が建ちはじめた。
経済活動の自由が尊重されるべきことは十分承知しているつもりだ。それを「西に富士ヶ根東に筑波」とどう折り合いをつけるのかが政治だと思うのだが。