上野オークラ劇場

映画が好きだから、乏しいながら架蔵する本の何割かは映画本が占めている。酒量はたいしたことはないのにお酒も好きで、ウィスキーのトイメンに吉行淳之介編『酔っ払い読本』全七巻があったりする。この酒をめぐる小説やエッセイのアンソロジーアメリカのその種の本をお手本にしているから彼我を問わずお酒と本の相性はよい。ミステリーとなれば映画に本に大忙しだ。
ならばエッチはどうか。もちろん好きですよ。どれほどにと訊かれても困ってしまうけれどすくなくとも人並みにはね。ところがこの方面の映画鑑賞体験や読書量ははずかしいほど貧困で書棚に『世界性文学体系』や『日本の名随筆 性技』もなければDVDのコレクションは皆無に近い。これ、人並みに好きというのは豪語に過ぎるのか、それともここは映像や言語より毛沢東の「実践論」を信奉するに限ると考えているのか、どうもよくわからない。さいわい上野にある専門館オークラ劇場が自宅に近い。こんどここで腰を落ち着けてじっくり考えてみよう。