十二社(じゅうにそう)

「新宿ー青梅43キロかち歩き大会」の出発は新宿中央公園川本三郎『いまむかし東京町歩き』(毎日新聞社)によれば、都庁をはじめとする高層ビル群に囲まれた一角にあるこの公園一帯はかつて「十二社」と呼ばれていた。「十二社」と書いて「じゅうにそう」と読む。写真正面の階段を行ったところに熊野神社があり、十二の神々が祀られていることに由来している。現在の町名は西新宿で一九七0年(昭和四十五年)に変更された。
一九八六年刊行『東京地名考』(朝日文庫)には「公式には西新宿二、四丁目のうちだが、タクシーなどは十二社のほうが通るそうだ。なにしろ、歴史がある。熊野の滝や十二社池を配した熊野神社周辺は、江戸の名勝の地だった」とある。米国領事ハリスやヒュースケンもしばしば来遊したそうだ。
『東京地名考』が出ておよそ四半世紀が過ぎたいまタクシーで「じゅうにそう」へ行って下さいといってわかっていただけるだろうか。