2019-02-01から1ヶ月間の記事一覧

複雑面妖

日本の、いや世界の映画史上最高のアクション場面はと問われたなら、わたしは「七人の侍」の豪雨のなかでの乱闘をあげる。のちに「裸の大将」や「黒い画集・あるサラリーマンの証言」など数多くの映画、テレビ番組で監督、演出を務めた堀川弘通はこのとき助…

『八月の砲声』~映画のなかの一冊の本

映画のなかで触れられた本としてわたしに強い印象を残している一冊にバーバラ・タックマン『八月の砲声』がある。第一次世界大戦開戦前後の政治と軍事についての検証と分析をつうじて戦争はどのようにしてはじまったのかを詳述した歴史書である。 映画はロジ…

「天才作家の妻 40年目の真実」

ノーベル文学賞の候補に何度かあがっていたジョゼフ・キャッスルマン(ジョナサン・プライス)がようやく念願の受賞者に決まり、妻のジョーン(グレン・クローズ)と息子で作家のデビッド(マックス・アイアンズ)を伴い授賞式が行われるストックホルムを訪…

情とカネ

火災保険のなかった江戸時代には、問屋と小売店との関係は密接で、どちらかが火災にあうと、災禍を免れたほうが親身になって面倒をみたという。相互扶助と火災保険の合わせ技であるが、のちに保険業者が現れると問屋と小売店の紐帯はだいぶんゆるんでしまっ…

裏急後重

むかし東大英文科のなんとかという教授はたいへんな記憶力の持ち主だったが弱点がひとつあって植物の名に疎かった。 教室で英語のテキストに植物名が出て、日本語で何というのかわからない場面、しかしこの先生、慌てず騒がず、かといって辞書を引くのでもな…

森泉笙子展のお知らせ

森泉笙子展が2月18日(月)から23日(土)まで中和ギャラリー(東京都中央区銀座6-4-8曽根ビル3階 tel.03-3575-2560)で開催されます。 たくさんの方のご鑑賞をお願い申し上げます。 以下、森泉さんの略歴、活動歴です。 1933年 東京に生まれる 1957年~58年…