2018-01-01から1ヶ月間の記事一覧

年末年始のミステリーと中欧の旅

年末年始の読書はもっぱらミステリーにあてる。週刊誌や雑誌のベストテンを参考にしながら読みふけって四十年、今回まずとりかかったのは陳浩基『13・67』(天野健太郎訳文藝春秋)で、さすがに評判どおりの面白さでグイグイ読ませてくれた。2013年から1967…

九份(2015初夏台湾 其ノ十七)

台湾では九十年代はじめに九份観光のブームがあり、そのきっかけとなったのが一九八九年に公開された侯孝賢監督「悲情城市」の大ヒットで、ロケ地のノスタルジックな風景に魅せられた多くの人がここを訪れた。こうして九份は一躍脚光を浴び、台湾を代表する…

「バーフバリ 王の凱旋」

年甲斐もなく血潮が滾った。ギリシア悲劇と超絶活劇との極上の合体それともギリシア悲劇を昇華させた超絶活劇というべきか。いずれにせよこのインド映画はそれをゲージュツ関係おまへんの波乱万丈エンターティメントの追求とハッピーなミュージカルのノリで…

黄金神社 2015初夏台湾 其ノ十六)

金瓜石には日本統治時代の建物や遺跡が遺されている。黄金博物館もあり、そこを含めこの地域全体が博物館のようだ。下の建物もそのひとつだ。 金瓜石の小高い山の上には黄金神社の遺構がある。日本の敗戦とともに神社は廃され社殿は取り壊されたが、社殿の柱…

「一九四二金瓜石事件紀念岩誌」(2015初夏台湾 其ノ十五)

金瓜石地区には「一九四二金瓜石事件紀念岩誌」が建立されている。設置者は新北市瓜山国民小学校友会、日付は二0一四年六月十四日となっている。 一九三0年代以降中国への侵略そして太平洋戦争とつづくなか、日本は台湾人の抵抗を恐れ、開戦の翌年一九四二…

観覧車と並木道

ウィーンはクラシック音楽の聖地だが、わたしにとってまずは「第三の男」の舞台、すなわち映画の聖地のひとつである。 一九六九年に大学生になって上京し、いまはない大塚名画座でこの映画をみてあまりの素晴らしさに翌日も足を運んだ。ビデオのない時代で名…

ベルリンの壁

一月五日に羽田を発ってベルリン、マイセン、ドレスデン、プラハ、チェスキー・クロムロフ、ウィーン、ブダペストを廻り、十二日に帰国した。このうちプラハ以下は二度目だが、ドイツへは今回がはじめてである。 人にもよるだろうがドイツへ来ると神聖ローマ…

「April In Paris」

パリを旅したのはこれまで二度とも秋だった。素敵な季節にはちがいないけれど、ジャズのスタンダードナンバーに「パリの四月」があるものだから、四月のパリがついつい気になってしまう。 そこでは、マロニエの花咲く四月のパリ、思いもしなかった春の魔力、…

お年賀

あけましておめでとうございます。 もともと有用な人ではなかったけれど、退職を機に決定的に無用の人となった。さあ、そうなると日本にいる必要はなく、海外に行ったところで無用に変わりはないが、どうせぶらぶらするのであれば遠い国の見知らぬ町がおもし…