2017-08-01から1ヶ月間の記事一覧

断捨離

幕末、薩摩藩が贋金を鋳造していたのはよく知られており、一説によるとその額は二百九十万両にものぼったとか。薩摩藩と縁の深い佐土原藩も倒幕のための贋金づくりに精を出していた。 佐土原藩については岩井克人『ヴェニスの商人の資本論』にある「ホンモノ…

王宮(2017夏 タイ其ノ十)

バンコク発祥の地とされる王宮周辺にはワット・プラケーオ、ワット・ポーといったタイで最も格式の高い王室寺院が建つ。24万4千平方メートルの広大な敷地に豪華絢爛な建物、独特な色使いのタイル、ユニークな仏像など、さすがこの国最高の観光スポットの名に…

「I'll be seeing you」 余話

ウィリアム・ジンサー『イージー・トゥ・リメンバー アメリカン・ポピュラー・ソングの黄金時代』という本がある。先年、国書刊行会から関根光宏氏の訳で上梓された。(WilliamZinsser『EASY TO REMEMBER The Great American Songwriters and Their songs』…

珈琲(2017夏タイ 其ノ九)

このところ自分用のおみやげとしてよくご当地のTシャツとスターバックスのタンブラーを買って帰る。どちらも実用的かつ思い出の品となってくれている。写真はバンコクで入ったスターバックスの店内で、風景はいずこもおなじ。パソコンもアップル社製を使って…

「I'll be seeing you」と「港が見える丘」

第二次世界大戦当時のアメリカのラヴソングに「I'll be seeing you」(さようなら、また会いましょう)という曲がある。 一九三八年に発表されたときはありきたりのバラードとして注目されずヒットもしなかったが、戦争になり遠い戦場にいる恋人を思い、再会…

タクシー(2017夏タイ 其ノ八)

バンコクのホテルから繁華街へタクシーで向かっていると、運転手さんからタブロイド判の新聞紙を渡され、日除けにしてちょうだいというのでご指示に従った。ご覧のように運転席のほうも日除けをしてあるのだが法規上、大丈夫なのだろうか。 ホテルで呼んでも…

「夜明けの祈り」

アウシュビッツ収容所をはじめポーランドの強制収容所の多くはソ連軍により接収され、囚人たちは解放された。そのいっぽうでは統制の保てない兵士による蛮行が頻発した。スターリンはポーランドにたいし領土の野心を隠さなかったから、そのことも影響してい…

「20センチュリー・ウーマン」

一九七九年のサンタバーバラを舞台として描かれた母と息子とその周囲にいる人々のひと夏の経験。 マイク・ミルズ監督は前作「人生はビギナーズ」で七十五歳でゲイであることを告白した父親を、今回は自由で独立心旺盛な母親をモデルとした。ともに自伝的要素…

ライトアップのアユタヤ遺跡(2017夏タイ 其ノ七)

バンコクを中心とする地域は六月から十月までは雨季だが、さいわい今回の旅行では一度だけホテルに着く直前に軽度のスコールとおぼしき雨に遭った以外は傘の必用はなく天候にめぐまれた。自認はしていないけれど友人によってはわたしは晴れ男だそうだ。 アユ…

『武士道の精神史』

「分別らしきもの腰ぬけべし」「武辺は無分別とそこつ(粗忽)の間より出る」 天野長重という旗本が書いた教訓的備忘録『思忠志集』の寛文八年(一六六八年)の記事にある、かつて武勲を立てた老人が語った言葉だそうで、氏家幹人『江戸藩邸物語』で知った。…

象の飼育場で(2017夏タイ 其ノ六)

日本列島がユーラシア大陸と陸続きだったころ、日本にもナウマン象がいたそうだ。遠い昔に絶滅したが、そのあと文献上、象が日本へ初渡来したのは応永十五年六月二十二日(一四0八年七月十五日)のことで、東南アジア方面からの南蛮船により、足利義持への…