2017-02-01から1ヶ月間の記事一覧

「ラ・ラ・ランド」

絵にも描けない美しさってどんなふうに描けばよいのかな。言葉にならない素晴らしさを文章で表現するのもむつかしいね。「ラ・ラ・ランド」についてひとことと思ってパソコンの前に坐っているのだけれどなかなか言葉が出てこない。 プロローグはロサンジェル…

『三国志』から『プレイバック』へ

『三国志演義』の世界に浸りたくて吉川英治『三国志』を読みはじめた。中学生のとき父がむやみに勧めるのでこの作家の代表作『宮本武蔵』を読んだが修身道徳の教科書みたいでなじめなかった。『三国志』は中国講談の翻案で道徳臭はあるが武蔵ほどではない。 …

夢二の墓

先日池袋で用を済ませたあと雑司ヶ谷に廻り鬼子母神と霊園を散歩した。はじめて鬼子母神に参詣したのは市川準監督「東京兄妹」にあるこの界隈の詩情ゆたかな映像に惹かれたのがきっかけだった。一九九五年の作品だからはや二十年余が過ぎ、このかん二00八…

「海は燃えている イタリア最南端の小さな島」

ランペドゥーサ島はイタリア最南端の島。シチリアよりも北アフリカに近い。 この島で十二歳の少年サムエレは友だちと手作りのパチンコで遊んだり、船に乗って大人といっしょに網を引いている。ラジオのディスクジョッキーは電話でリクエストを受けるとその曲…

「喜劇人の碑」

浅草の浅草寺境内奥山にある「喜劇人の碑」。1982年(昭和57年)に逝ける浅草の喜劇人を偲び、建立された。 コメディアンが経験を積むうちに性格俳優に変身するばあいがある。小沢昭一は「わらわせ業始末」でこれを「マジづく」と表現している。「マジづくと…

「マグニフィセント・セブン」

アントワーク・フークア監督「マグニフィセント・セブン」は一九六0年製作の『荒野の七人』(The Magnificent Seven)と原題をおなじくするリメイクであり、「七人の侍」からいうとリメイクのリメイクとなる。 無法者集団の略奪に耐えかねた村人が七人の腕…

中央会堂

本郷の中央会堂は一八九0年(明治二十三年)カナダ・メソジスト派のチャールズ・イビー宣教師により創建された。中央会堂は日本の中央の天幕の意で、教派的立場を超えてモーセが荒野でテントを聖所としたことに由来するという。 夏目漱石『三四郎』に、美禰…

「スノーデン」

米国の監視体制はテロリストのみならず同盟国の首脳さらには自国の企業や国民にまで及んでいる。 二0一三年六月元CIAおよびNSA(アメリカ国家安全保障局)職員エドワード・スノーデンはアメリカ政府が全世界のメールや携帯電話での通話を監視している実態を…

正岡容句碑

言問通りを文京区からすこし台東区にはいったところに玉林寺がある。秋庭太郎『考証永井荷風』によると、惚れて惚れられその契りとして荷風と刺青を彫りあった妓富松こと吉野コウはここに眠る。 そしてここにはもうひとり荷風と縁のあった正岡容の「おもひ皆…

お金の欠点

「金というものの唯一の欠点は、使うとなくなってしまうということである。これは実際、困ったものであって、使うとなくなるからというので使わずにいれば、なんのために金を持っているのかわからない。」 吉田健一「金銭について」より。金についての箴言集…

「ポルトガルの四月」(西班牙と葡萄牙 其ノ五十五)

「四月のポルトガルは愛の理想郷、恋人たちは狂い、空はもっと狂う、四月のポルトガルはなにもかも素敵、いつかまたここに来て見たいわ」。イヴェット・ジローが一九四九年に歌ってヒットしたシャンソン「ポルトガルの四月」の一節で、上の訳詞は壺齋散人と…