2017-01-01から1ヶ月間の記事一覧

「アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男」

じつに引き締まった、本でいえば巻措く能わざるといった映画だ。 アドルフ・アイヒマンはホロコースト〈ユダヤ人問題の最終的解決〉推進の中心的人物として虐殺を指揮し、戦後はアルゼンチンで逃亡生活を送っていた。イスラエルの諜報機関(モサド)がアイヒ…

プラタナスの並木道(西班牙と葡萄牙 其ノ五十四)

リスボンで宿泊したホテル近くの公園にプラタナスの並木道があった。 アメリカのスタンダードナンバーで最初に知ったのは「スターダスト」で、おなじ思い出をもつ方は団塊の世代には多いだろう。毎週日曜日の夕方、シャボン玉ホリデーのエンディングでザ・ピ…

冬のポーランドへ(2017冬のポーランド 其ノ一)

一月十六日から二十三日にかけてポーランドを旅した。成田空港からワルシャワ空港へ飛び、グダンスク、マルボルク、トルン、ポズナン、ヴロツワフ、ツフィドニツァ、クラクフ、オシフィエンチム(アウシュビッツ強制収容所)、ヴィェリチカ、そうしてワルシ…

三人の生物学者

池田清彦『アホの極み』に二0一一年三月二十五日九十歳で没した柴谷篤弘氏を追悼した一文があり、一九八0年代なかば柴谷が構造主義生物学を提唱し、そのころ池田の書いた論文が柴谷の目にとまり、二人がこの学問の構築に情熱を燃やすこととなった事情が述…

カステラのもと(西班牙と葡萄牙 其ノ五十三)

リスボンのレストランでカステラのもととなったというパンを食べてみた。名前を控えておかなかったので困ってしまい、ネットであちらこちら見ているうちにポルトガルのパン・デ・ローというお菓子を日本人好みにアレンジしたものがカステラという説明があっ…

「ドント・ブリーズ」

「Don't Breathe」。ゲイジュツ関係おまへんとひたすらホラーとショックとサスペンスを追及した、昔風にいえばB級プログラムピクチャーの匂いただよう作品で、観客は「息をするな」のタイトルでなくても、おのずと息をひそめてスクリーンをじっと見つめるこ…

ベレンの塔(西班牙と葡萄牙 其ノ五十二)

ジェロニモス修道院とおなじくマヌエル一世の命により建造されたベレンの塔。こちらは一五一五年に工事がはじまり二一年に竣工した。ヴァスコ・ダ・ガマの業績を記念した灯台であるとともにテージョ川河口を見張る要塞としての機能も具えていた。 一五八四年…

年末年始

森泉笙子さんからご案内をいただき練馬区立美術館区民ギャラリーの「Rの会展」へ行ってきた。Rの会は現代美術を学ぶ生涯学習団体で森泉さんは下の写真の油絵を出品されていた。 美術館は西武池袋線中村橋駅近くにあり、この線を利用することはめったにないが…

久松留守のほうがよい

日本ではじめてインフルエンザが流行したのは一八九0年、明治二十三年の冬で、翌年春になるとますますひどくなり広く病名が知られたと岡本綺堂の随筆に書かれていた。 石井研堂『明治事物起源』にもインフルエンザの流行は「明治二十三年二月、内務省衛生局…