2013-07-01から1ヶ月間の記事一覧

「林檎の木の下で」

「林檎の木の下で」(In the Shade of the Old Apple Tree)という歌をご存じですか。 アメリカの作詞・作曲家ハリー・ウィリアムズ (Harry Williams) と作曲家エグバート・バン・アルスタイン (Egbert Van Alstyne) の共作として一九0五年に発表された楽曲…

祝 富士山「世界文化遺産」登録

ことし二0一三年六月二十二日富士山が「世界文化遺産」に登録された。この山を国民の財産として、また、日本が世界に誇るシンボルとして、アピールしてこられた方々の努力に心からの敬意と感謝を申し上げたい。 登録に際しては静岡、山梨両県の推進力が大き…

池田清彦『アホの極み』を読む

地震予知、原発、地球環境、脳死、臓器移植などなど現代科学の諸問題について文系老人(小生のこと)はとても難渋する。関係しないでいられるならそれでよいけれど生活に係わるからそうもゆかない。 もとよりさまざまな意見、考え方があるのは承知しているが…

蓮の花

不忍池に蓮の花が咲いた。 文政十年(1827)に刊行された行楽ガイドブック『江戸名所花暦』は蓮の花の名所として溜池、芝増上寺地中弁天の池、不忍池の三処をしるしている。 明治四十四年(1911)の若月紫蘭『東京年中行事』は不忍池、浅草、芝の公園を挙げ…

荷風日記の二人の女優〜高清子と西条エリ子

先だって思いがけず「週刊新潮」誌上に高清子の名前を見た。 同誌に著名人が調べものについて広く問い合わせをする「掲示板」という頁があり、二0一三年七月四日号に筒井康隆氏が高清子について情報を提供してほしい旨の記事を寄せていて、「彼女の出演映画…

「生誕110年映画監督清水宏」

溝口健二は清水宏について「清水君は天才です。ぼくや小津君は努力家にすぎない」と評したという。その人の特集上映が、京橋のフィルムセンターで「生誕110年映画監督清水宏」として催されている。 1929年の「森の鍛冶屋」から1959年の遺作「母のおもかげ」…

雨の日の午後に

雨の日曜日の午後、NHKのテレビ囲碁選手権のあと、シャーロック・ホームズのテレビ・ムービーを取り出して「踊る人形」を見た。BBC製作、ジェレミー・ブレット主演のシリーズの一篇で、ときどきこうして視聴しては原作を読み返している。 原作では、踊る人形…

日暮里諏訪神社

本郷通りを東大前から駒込へ向かい、そこから田端、西日暮里、谷中へと走る。このおよそ八キロがわたしのジョギングコース。写真は諏訪神社。南隣に浄光寺があり、ここからの崖下の眺めがよく雪見寺の俗称がある。もっとも雪の日はジョギングはお休みだから…

『色ざんげ』

丸谷才一による生前最後の編纂本『花柳小説傑作選』(講談社文芸文庫)には十九篇の短篇小説が収められている。そのなかで島村洋子の短篇連作集『色ざんげ』から採られた「一九二一年・梅雨・稲葉正武」「一九四一年・春・稲葉正武」の阿部定をめぐる二篇が…

小西湖

永井荷風はみずからを風に葉が破れたハスに見立てて、戯れに敗荷と号した。その句「枯蓮にちなむ男の散歩かな」の男は敗荷としての自身を指している。 明治四十四年一月十八日井上唖唖とともに上野博物館で錦絵を鑑賞した帰りに詠んだこの句には「小西湖上に…