2013-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ロマン・ポランスキー 初めての告白

「水の中のナイフ」「ローズマリーの赤ちゃん」「チャイナタウン」「戦場のピアニスト」「ゴーストライター」等々どれも大好きな作品だが、率直なところ監督ロマン・ポランスキーその人については作品だけで十分とは思わないものの、深入りするのは避けてき…

カラオケ

場の空気も読めず、咄嗟の機転も利かない不器用者だから、せめてあらかじめの決めごとだけは実行しようと考えてきた。それが習慣となってか、事前に路線を敷いておかないと落ち着かず、ことはカラオケの選曲にまでおよんだ。 カラオケではここしばらく由紀さ…

「嘆きのピエタ」

ソウルの一角、清渓川(チョンゲチョン)周辺。かつては産業が栄えた町だというが、いまは高層ビル群の谷間で、零細企業といってなお首をかしげてしまう極貧の工場があえぐように乾いた機械の音を発している。この町でガンド(イ・ジョンジン)は闇金融の取…

ハス

ハスの花見頃は七月下旬から八月中旬にかけてだからまもなく花の季節を迎える。「蓮池や今朝出現の花一つ」。露菊の句にある「今朝」はことしは何日になるのだろう。 永井荷風のファンにハスはとても気になる植物である。明治二十八年流感の罹患から腎臓を悪…

「らくだ」

古典落語に「らくだ」というはなしがある。 長屋中の嫌われ者で、らくだというあだ名の男がフグにあたって死んだ。たまたまその家を訪ねた兄貴分が死体を見つけたところへくず屋が通りかかる。 兄貴分はくず屋を使いっ走りにして、やれ香典だ酒だと大家や店…

「ローマでアモーレ」

先日MGMと20世紀FOXのロゴの入った封筒でウディ・アレンがプリントされたTシャツが送られてきた。すっかり忘れていたが、そういえばアレンのDVDボックスセットを買った際プレゼントの抽選に応募してあった。 そこでこれを着て「ローマでアモーレ」を観てきた…

「ビル・カニンガム&ニューヨーク」

「ニューヨーク・タイムズ」で人気ファッション・コラムと社交コラムを長年担当してきた名物カメラマン、ビル・カニンガムを追ったリチャード・プレス監督のドキュメント作品。 パリの道路清掃係の制服とかの青い上っ張りにニコンのカメラを吊るしたこの写真…

あじさい

町あるきをしていると、あじさいの花を見かけるようになった。写真は千駄木の民家に咲いているのを撮らせていただいた。泉鏡花に「森の紫陽花」という随筆があり「千駄木の森の夏ぞ昼も暗き」ではじまる。明治三十四年八月の執筆だが「森」はそこからさかの…

「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」

ロングショットで撮られた街の光景が何度か映し出される。教会だろう、まんなかには尖塔がそびえている。映画の舞台であるニューヨーク州スケネクタディを一望した眺めで、ここは松林の向こう側(The Place Beyond the Pines)の意味をもつ町だそうだ。 円形…

「リンカーン」

スティーブン・スピルバーグの新作「リンカーン」を観てきた。はじめはいまさら偉人伝のような映画はいいよと食指が動かなかったが、それなりに工夫はしてあるだろうし、あまり自分の世界を狭めてはいけないと考え直して行ってきた。 この映画ではエイブラハ…

「オース!バタヤン」

ことし四月二十五日に九十四歳で亡くなった田端義夫の遺産となった映画である。観ているうちにこうして残してくれた製作のアルタミラピクチャーズならびに田村孟太雲監督はじめスタッフ関係者にありがとうを伝えたい気持でいっぱいになった。 一九一九年(大…

ギャング映画と音楽

ハリウッドのギャング映画には必ずといってよいほどナイトクラブやダンスホールのシーンがあり時代の雰囲気を漂わせる曲が歌われ、演奏される。それらは断片的であっても当時のファッションを目にしながら聴く音楽はファンにとってはうれしい贈り物となる。 …