2013-02-01から1ヶ月間の記事一覧

詩碑「戦死せる教え児よ」

高知市の城西公園に建つ竹本源治「戦死せる教え児よ」の詩碑。「逝いて還らぬ教え児よ/私の手は血まみれだ/君を縊ったその綱の端を/私も持っていた/しかも人の子の師の名において」は日教組運動の原点とされる。 漱石の「坊つちゃん」と同僚の山嵐が退職…

「自警団」考(関東大震災の文学誌 其ノ十三)

「不逞鮮人」が井戸に毒薬を入れた、夜陰に乗じて暴動を企てているといった関東大震災のときの「流言蜚語」に寺田寅彦が精緻な分析を行っている。 流言には「源」があるが、それを受けつぎ、取りつぐ人がいなければ「伝播」は起こらない、そこで着目したのは…

「間島パルチザンの歌」詩碑

「思い出はおれを故郷へ運ぶ・・・高麗雉子が谷に啼く咸鏡の村よ」。 写真は冒頭箇所が刻された槇村浩の詩碑で、高知市の城西公園にある。名称からおわかりのように高知城に近く、市内中心部に位置している。 「間島パルチザンの歌」は間島、現在の中国延辺…

「奪命金」

新宿駅東南口すぐ近くのビルの地下にある映画館シネマカリテで「奪命金」を観た。昨年末に新しくスタートしたスクリーン二つの小さな劇場だ。 都合のよいことに道路をへだててスターバックスがあり、座席を予約したあとスタバで二時間ほど本を読み、夕刻から…

根津神社の木々

庭付きの家に住みたいと思ったことはないけれど木々や草花を見ながら散歩するのは大好きだから自宅の近くには緑ゆたかな公園や神社仏閣があってほしい。その点、拙宅近くに上野公園や根津神社があるのはとてもうれしい。 青山真治監督「東京公園」はうららか…

内海桂子師匠九十歳!

松の内のNHKの寄席中継で内海桂子、あした順子のお二人が共演していて、これが呼び水になったのか「九十歳の内海桂子師匠がいま浅草東洋館に出演している」「それはぜひ行かなくては」といったしだいで急遽浅草へ行く。無職渡世に時間はたっぷりだから不忍池…

雪の赤門

喫茶店を読書室としているので、一日一度は珈琲を飲みに出かけるが、さすがに一月十四日の大雪の日は出て行きかねて自宅に籠もった。翌日は前日の借りを取り返そうと喫茶店そうして映画館へと本郷通りをあるいていたところ、雪景色の赤門の白と赤の彩りを見…

二村定一の「君恋し」

お気に入りの曲を繰り返したり、別ヴァージョンで聴くのが好きだから二村定一のアルバム「私の青空」に収める「君恋し」を聴くとなかなか次へ進めない。 この人の「君恋し」は歌詞がくっきりとしていて、べとついた湿度の高い感情は排されているのにどこかし…

日暮里富士見坂

「午後九段を歩む。市ヶ谷見附の彼方に富嶽を望む。病来散策する事稀なれば偶然晩晴の富士を望み得て覚えず杖を停む。」永井荷風『断腸亭日乗』大正六年十二月十七日の記事だ。 昭和四十五年刊行の横関英一『江戸の坂 東京の坂』には富士見坂を通称とする坂…

「東ベルリンから来た女」

原題は主人公の名前をとった〈Barbara〉だが「東ベルリンから来た女」になってミステリーの雰囲気が濃くなった。さっそく一見に及んだところでフレッド・ジンネマン監督「ジュリア」が公開されたとき小林信彦さんが、新作にして古典の列に並ぶことが約束され…

はなし塚

本法寺の「はなし塚」に禁演落語として葬られたのは女郎買い、酒飲み、不道徳といった時局にふさわしくないと認められた五十三席で、噺家たちは敗戦後の昭和二十一年九月三十日本寺で催された「落語祭」を機にこの禁を解いた。 不思議かつ興味深いのは古今亭志…