2012-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『古今亭志ん朝 大須演芸場』

トカゲを飼って大きくして財布にするんだと真面目な顔で親父の志ん生がいうものだから、長女の美津子はやむなく「何言ってんの、父ちゃん。トカゲがそんなに大きくなったら、財布にする前に父ちゃんが食われちゃうよ」と応えたところ怖がりの志ん生は一発で…

蝙蝠(こうもり)

岡本綺堂の随筆「薬前薬後」の一篇「雁と蝙蝠」に、江戸時代の錦絵には柳の下を蝙蝠が飛んでいるさまがよく描かれていて、柳橋あたりの河岸を粋な芸妓があるいていると、その背景は柳と蝙蝠とするのが紋切形、定番になっていたとありました。 柳とくればつば…

「崖っぷちの男」

西洋精神史の学究として立教大学や明治大学の教壇に立ついっぽうで平凡社の『世界大百科事典』の編集責任者をつとめた林達夫に「十字路に立つ大学」という評論がある。一九四九年に発表されたこの論考は、大衆社会のなかでの大学の行く末を論じてのちの大学…

「クレイジーホース☆パリ 夜の宝石たち」

ドキュメンタリー作家フレデリック・ワイズマンが「BALLETアメリカン・シアターの世界」「パリ・オペラ座のすべて」につづいてとりあげたのは「クレイジーホース」。一九五一年アラン・ベルナルダンによって創立されたキャバレーで、こことムーラン・ルージ…

「生誕百年 快剣士 大友柳太朗」

若い友人で飲み仲間の婚礼の日。新婦とも顔見知りの仲だ。昼間の式は瀟洒な木造造りが魅力の根津教会。夜の披露宴は西日暮里の某スペイン料理店。フラメンコのギターと踊りのパフォーマンスとの兼ね合いだろう、挨拶は短くて心のこもったものというけっこう…

阿部定予審訊問調書

戦時中、司法省が不良少年をテーマにした教育映画を企画して東宝に依頼したことがあった。東宝はマキノ雅広を監督に据えようとしたが、マキノは阿部豊との共同監督を希望し、また脚本には小國英雄をくわえ三人の担当とした。 阿部豊は一九一二年に渡米し、や…